松尾画報

辺境のカンガルーの近況

春の言葉

春になると思い出す言葉があります。

 

私、就職氷河期世代なものですから、

大学卒業時の周りの就職率がものすごく低かったんですすね。

関西トップクラスの有名私立・国立大でもフリーターごろごろ。

「就職率55%」という数字をよく覚えています。

私の大学か、学部か、その年の日本全体の平均か、忘れましたけど。

 

4回生の3月ですから、お別れの飲み会が頻繁にあります。

そのうちのひとつで、飲み会の後カラオケに行ったときのこと。

歌うというより、曲をBGMに皆が思い思いに叫ぶ時間がありました。

「大学生楽しかったー!」「東京でもがんばるー!」「働きたくないー!」「仕事ないー!」

ポジもネガも面白く叫んで笑います。酔ってますしね。

 

そんな中、ハマモト君が叫んだ言葉。

 

「嫌やー!もう終わるー!嫌やー!帰りたくないー!嫌やー!寂しいー!」

 

寂しさや名残惜しさを全力で絶叫していました。

その言葉がなんだか妙にぐっと胸にきましてね。

分かる、分かるよ。なんて素直に感情を表現するんだ。

 

仲良くしてた皆が、いつも同じ目的で同じ場所に集う日々は、もう帰ってこない。

学生生活が永遠に終わるという喪失感。寂しさや後悔なんかも。

そして、未来へのねばっこい不安があるんです。就職がうまくいった人でも。

あの時期・時代に皆が抱えていた不安や寂しさといったモヤモヤしたものが、

とてもストレートに言葉に出ていて、胸に迫るものがありました。

 

春先のうす暖かい気温になると、ハマモト君の絶叫を思い出します。

今思えば、とっても子供っぽい考え方でもあるんですが、

なんだかほんの少し、きゅっとした気分になっちゃいますねぇ、今でも。

 

就職氷河期については、またなにか書いてみようと思います。

団塊とか、氷河期とか、ゆとりとか、さとりとか。

ひとくくりであんまりいい呼称とは思いませんが、興味あるんですよね、そういうの。