松尾画報

辺境のカンガルーの近況

不意打ち

4月半ばくらいの朝の通勤時の話なんですが、

電車のボックス席の向かいに座っていたスーツ姿の若者が、

ワイヤレスイヤフォンを落としちゃったんです。

うとうと、うとうと、船を漕いでいてつい、という感じで。

 

すぐに起きて探し出す若者。

が、なかなか見つかりません。

向かいあって座っている私も探しますが、

足元には見当たりません。

 

ああ、もしかして、と座席の横の金具部分を指さします。

ボックス席なので椅子が可動式なんですが、

その金具部分にイヤフォンが挟まっていました。

若者がペンで押し出して、それを私が手を伸ばして無事確保。

 

以前にも遭遇したんですよね、その隙間にスマホ落とした人に。

他にもたくさんいるんだろうなぁ、あの隙間にモノ落とした人。

でも構造上仕方ないよなぁ、気をつけるしかないなぁ。

なんて思っているうちに、いつの間にか、私もうとうと。

 

「どうもッ!ありがとうございましたッッ!」

という声でびくっと目が覚めました。

駅について降りる若者が、大きな声で私にお辞儀&お礼。

狼狽しつつ、いやいや、いいよいいよ、と手を挙げて応えます。

 

もちろん、イヤフォン回収したときにも、お礼は言ってくれたんですよ。

でもさらに、降りるときに改めてお礼言ってくれたわけです。

見た目からして新卒っぽかったし、研修とかの成果なのかな。

律儀でいい子じゃないですか。素晴らしいですね。

 

けどまあ、こういっちゃなんですが…、びっくりしますよねぇ。

気持ちはとっても嬉しいし、感心しますけど、

できるだけソフトな接し方の方がいいです、小心者のおじさんには。

心臓がぎゅっ!となる感覚、なかなか久しぶりでした。