松尾画報

辺境のカンガルーの近況

養鶏場

小学生時代の通学路に、養鶏場がありました。
強烈な匂いと、鶏の声と、何かしらの圧力。
やたらと生命力のある妙な圧力。

鶏がね、静かに主張してくるんです。
コッコッコッコッ。コケッコッコッコッコッ。
さざなみのような、大音量ではないけど、手数の多いやまぬ圧力。

そんな道を通学していたのを思い出して、
先日実家にひっそり帰郷した折、
ランニングがてら養鶏場の前に行ってみました。

結果から言えば、養鶏場は閉鎖されていました。
あれだけ強かった匂いも今では全くなく。
しんと静まりかえった、ただの小径。

昔を知っているからでしょうけど、
なんだか必要以上に静かに感じてしまいました。
もうちょっとくらい、痕跡あってもいいじゃないかってくらい。

今でも鮮明に思い出せます。
圧力、匂い、うす暗さ、青空、雲、汗、喉の渇き、蝉の声。
なぜか知らないけど、夏の記憶と結びついてるんですよね。

あぁ、夏が終わっちゃったなぁ。
まだまだ暑いけど、やっぱり8月が終わると夏は終わりですね。
昔を知っているからでしょうけどね、それも。