松尾画報

辺境のカンガルーの近況

落ち着かせる

ふと思い出した昔のお話。
20代後半、自由を存分に謳歌していた頃のこと。

友人に多かった芸大卒の連中って、自我が強くてですね。
思いついたことを、とにかく実践していくわけです。

ある友人は一時期、日本酒にハマってました。
食にハマる奴、多め。器とも含めて、やたら凝る、凝る。

で、そいつの家に遊びにいくとですね、
まず、ご飯・漬物・味噌汁が出てくるんです。

空腹だと食べることに意識が持っていかれる、という理屈。
日本酒を味わうために、空腹感をなくそうということですね。

参加者みんなのお腹が落ち着いたところで、
いろんな種類の日本酒がでてきます。

皆も待ってましたとばかりに、それぞれ持参した日本酒を開封。
山ほどの日本酒を一晩中かけて、味わうわけですね。

酔えばそのままそこで寝ればいいわけで。
朝には布団がかけられてるし、水もタオルもポリ袋まで枕元に。

自尊心ばかり強い生意気な若造どもの舌では、
味なんて全然わかってなかったかもしれないですけど。

けど、楽しかったなぁ、というのはもちろん、
なんだか毎日妙に充実してたような気がします。

お昼ご飯に漬物定食を食べて、ふと思い出しました。
食後に日本酒は飲まなかったですけどね。仕事中だもの。