松尾画報

辺境のカンガルーの近況

生々しい音

古い音楽をイヤホンでじっくり聴くと、思うんです。
1940〜70年代あたりにつくられたロックやジャズあたり。

「演奏のタッチ、ディテールが、思いのほか荒々しい」
ということに気づきます。

こんなんだっけ?と思うんですよね。
ピアノが美しいと記憶してた曲でも、結構タッチが荒い。

現代ならきっとOKテイクにならずに録り直したり、
ミックスで調整するようなレベルの荒さも、時には。

ライブを録音したものとはまた違う生っぽさ。
隠し切れてない生っぽさとでもいいますか。

今の感覚からすれば、製品としては、
少々整った形ではないかもしれませんが。

けど、なんか感情がこもってる荒さなんですよね。
弾いてる人や状況をいろいろ想像してしまう。

隅々までがちがちに作り込まなくてもいいのかも。
ちょっとくらい揺らいだっていいよな、いろんなことが。

現代社会は、あらゆる品質がすごーく安定してますもんね。
飲食や服や機器はもちろん、100円ショップの雑貨でさえも。

「こんなもんかな、えいやっ」とリリースする大胆さも、
ま、少しくらいは持っててもいいのかもですね。

やることねぇなっていう週末の夜にお酒でも飲みながら、
改めてじっくり聴くと、意外な発見があって面白いです。