松尾画報

辺境のカンガルーの近況

代表作

もうひとつ、ザ・キンクスのお話を失礼。

彼ら、いわゆる代表曲の選定が難しかったりします。
時期によっていろんないい曲があるんですが、
なかなかこれっていうのが決められません、ファンの間でも。

おそらく知名度では64年の「You Really got me」だと思うんですが、
素晴らしい曲ですが初期ロックすぎるというところもあり、
彼らの真髄が全て詰まっている、という気はちょっとしないんですよね。

じゃあその後の作品の中でどれなんだ、と言われても、
なかなかに選定が難しいところなのです。
最高傑作がどれというよりは、良作が多すぎて選べない。

いやね、音楽に限らず、いろんなアート活動でもそうでしょうし。
別段、アート活動に限らず、普段の皆さんの仕事でもそうだと思うんです。
あなたの代表作ってなぁに?という命題。

あのプロジェクトはすっごく大きくって、とか。
あの取引ではあれだけのお金が動いて、とか。
あの活動でこれだけの救われた人がいて、とか。

もちろん、いわゆる分かりやすいのも大事でしょうけど、
「あの人といったらこれ」に大いに縛られてる例も、
世間には山ほどありますよね、古今東西。

「どれがベストか分からない」のもそれはそれで、
まぁ、いいんじゃないかなって思います、個人的には。
全てがある一定、どころかとても高いレベルを維持しないとですけどね。

「どれがベストか分からない」の後に、
「けど、どれも味があっていい」の言葉を続けてもらいたいものですね。
そう思います、64年のオールドなナンバーを聴きながら。