松尾画報

辺境のカンガルーの近況

バックグラウンド

一時期、美術館によく行っていました。

ある雑誌の仕事をしていて、そのツテでよくチケットをもらったんですよね。

もらったチケット握りしめて、関西あちこちの美術館にふらふらと。

チケットはなぜかいつも絵画ものばかりでした。

 

美術館に入ってすぐの時間が、すごく好きだったんですよね。

これからどんな世界が広がるんだろう、という期待感。

作品を観るのももちろんですが、その制作の背景を想像するのが好きで。

何世紀のどの土地がメインか、というのだけは前もって調べてました。

 

大した知識を持ち合わせているわけじゃないんですが、

その時代の住環境とか、制作環境とか、画家の地位とか、食事とか。

江戸時代の民間絵師なら、光が入る長屋の通路沿いの部屋で描いて、

日が暮れたら居酒屋に出かけたのかなぁ、とかそんな感じで。

 

作品解説にも、時々そういったことが書いています。

作品自体のことに加えて、制作された背景とか、パトロンのこととか。

本流の楽しみ方とは少し違ってるかもしれませんが、

画家の人生を垣間見ているような気分になるんですよね。

 

その日の締めに適当な居酒屋でうだうだと飲みながら、

一緒に行った人たちとそういうのを話すのがまたいいんですよね。

スマホで適当にぺぺっと調べて、話のネタにして。

後々しっかり調べてみようと言いつつ、実際にちゃんと調べたことないですけど。

 

娘が生まれてからは、全然行かなくなりましたけども。

だって美術館でぐずられると大変ですからねぇ。

展示物をさわりたがるでしょうし、絶対。

その雑誌ももう廃刊になっちゃいましたしね。

 

もう数年後に、また行ってみたいと思います。

春はなにかしら、昔のことを思い出しますね。