『心呼吸』by柴犬
エリザベート②
前回から引き続いて、「エリザベート」の感想です。
トート役の井上芳雄さん、2016年ぶりに芳雄さんのトートを拝見しましたが・・全く違う別物のトートでした。2016年、当時から歌ウマで大人気でしたが、歌が上手過ぎるゆえに芝居している感がないというか、芝居が終わって今から歌が始まります的な途切れを感じました。今年度は発声から歌い方から変わっていて、更なる進化を遂げていました。韓国に通ってボイストレーニングを続けていたそうです。「最後のダンス」は圧巻で鳴り止まない拍手!東京だけの公演なんて・・勿体なさ過ぎます。2000年のデビューからずっと第一線で活躍し続けて、ミュージカル界を牽引し盛り上げてくれている芳雄さんも今年で46歳。現状に甘んじることなく努力と進化を続ける姿勢にはリスペクトしかありません。
フランツ役の田代万里生さん、万里生さんも2016年とは全く違っていて驚きました。2014年花組のフランツ役は北翔海莉さんなんですが、北翔さんが私の中では完璧に近いフランツ像だったので、それと比べると2016年の万里生さんは、可もなく不可もなく印象に残らないフランツでした。今回は、青年期のキラッキラッ〜晩年期のヨボヨボまで、纏うオーラも立ち姿も変えて演じ分けていました。感情は溢れ出していて、フランツの人間味を感じることが出来ました。望海さんと歌う「夜のボート」は息がピッタリでとても聴かせてくれました。
ルドルフ役の中桐聖弥さん、私は初見でしたが、登場した瞬間に「この人、これから必ず出てくる!」と思いました。そもそもルドルフ役は、若手俳優の登竜門と言われていて、ルドルフ役を経て大役を手にして、活躍している先輩方は多数です。声の質や台詞回しが良くて、歌も上手く、芳雄さんとの「闇が広がる」でも負けてなかったです。パンフレットには、洗足学園音楽大学音楽部ミュージカルコース首席卒業、2022年国際声楽コンクール東京2022 ミュージカル部門第二位と記載されていました。今後の活躍に大注目、これからも追いかけていきたい期待の大型新人です。がたいが良いし舞台映えするから、10年後にはトート始め色んな役が出来そうです。
トートダンサーは全部で8人。「最後のダンス」を始め、ダンスでシーンを盛り上げてくれました。トートダンサーのビジュアルもダンスも最高で「闇=トート」の登場・退場を上手く表現していました。「ムーランルージュ」「キンキーブーツ」などダンサーが入るミュージカルは、とても華やかで観ていて楽しいです。私はもっと色んなミュージカルにダンサーを起用して欲しいと思っています。ダンサーには日々の鍛錬・メンテナンスが必須で、ダンスを覚えて練習して、完成には多くの時間が費やされています。個人のInstagramは見ていますが、ダンサーは今後もっとフォーカスされて欲しいなと思います。
パンフレットにはエリザベートとトート以外のキャストのインタビューも載せて欲しかったで
す。「エリザベート」の配信(アーカイブあり)が11/29、2026/1/30、1/31にあります。長年愛されてきたミュージカル作品なので、良かったら是非観て下さい。次回は、「エリザベート」の感想最終回、ルキーニという役について書きたいと思います。













