『心呼吸』by柴犬
二都物語
ミュージカル「二都物語」を観てきました。イギリスのチャールズ・ディケンズが、1859年(47歳時)に書いた小説が原作です。今回、12年ぶりの再演で、井上芳雄さん、浦井健治さんが同役を再び演じ、楽曲2曲が新たに追加されヴァージョンアップしました。私は今回が初見でした。
あらすじ・・フランス革命前後の、ロンドンとパリ、2つの都市を舞台にした、瓜二つの2人の男性、チャールズ・ダーニー、シドニー・カートンと1人の女性、ルーシーを中心とした物語。ダーニーとカートンはルーシーを愛するが、ルーシーはダーニーを選び結婚、娘に恵まれる。そんな最中、フランス革命が勃発し、庶民から捕らえられた貴族のダーニーは死刑を宣告され投獄される。ルーシーの愛するダーニーを救うため、カートンはある選択を決意する。
「二都」、ロンドンとパリが舞台ですが、他にも色んな対比が描かれています。庶民と貴族、愛と憎しみ、生と死・・私が感じたメッセージは「繋いでいく」と、「いつか誰かが終わらせなければ・・」です。ルーシーの娘をカートンはすごく大事にして可愛がるんですが、ダーニーが投獄された時に、この娘の未来を守りたい、照らしてあげたいと強く願います。愛を知らなかったカートンに愛を教えてくれた人(ルーシーとその家族)、その人達を守りたい、そのためなら自分は何でも出来ると・・愛をかけて命は繋いでいく、というメッセージです。貴族から受けた仕打ちを忘れられず、その貴族を末代まで許さないと憎しみに煮えたぎるマダム・ドファルジュ、対してその夫は、「もう終わらせるんだ」と血で血を洗う報復の連鎖に虚しさと悲しさを感じています。報復の連鎖は、いつか誰かが終わらせなければ決して終わらない、そう思いませんか?というメッセージです。
原作を読んでないので、この壮大なストーリーをミュージカルで理解するのは、非常に難解でした。マダム・ドファルジュ(未来優希さん)の怒りと凄みは脳裏に焼き付くものがありました。物語を動かすキモになるので、説得力があってとても良かったです。「二都物語」、駆け足で話が進行するので付いていくのが大変な、予習必須の壮大なストーリー、争いについて考えさせられる、重めのミュージカルでした。