『心呼吸』by柴犬
ジャージー・ボーイズ
ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」を観てきました。2016年日本初演で、今回は4回目の公演です(2020年コロナ禍での全公演中止を除く)。初演からフランキー・ヴァリ役を続投し本公演を牽引している中川晃教さん、初めて生で観ましたが、登場からオーラが半端なかったです。中川晃教さんと言えば、私の1番好きなミュージカル、「モーツァルト!」の初演を井上芳雄さんとダブルキャストで務め、同演技に対して数々の賞が贈られました。中川さんが「モーツァルト!」のヴォルフガングを演じたのは初演のみで、残念ながら円盤化されていませんが、中川さん以上のヴォルフガングはいないと伝説になっています(私は観てないので本当に残念です)。
あらすじ・・伝説のヴォーカルグループ「ザ・フォー・シーズンズ」。フランキー・ヴァリ、トミー・デヴィート、ボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ。4人のメンバーそれぞれの視点から辿る、栄光と波乱に満ちた物語。ニュージャージーの貧しいイタリア系の若者が、どん底の生活から抜け出す道は3つ。軍隊へ行く、マフィアに入る、スターになること。そんなニュージャージーの町で、犯罪と隣り合わせの生活を送るトミーは、友人ニックとバンドを組んでスターとしての成功を夢見ていた。フランキーの歌に天賦の才を見出し、作曲の才能に溢れるボブを仲間に入れて、4人のハーモニーが誕生する。過酷な下積み生活を経て、「ザ・フォー・シーズンズ」としてデビュー、成功への階段を駆け上がる。数々のヒット曲を飛ばす中で彼らが見たものは・・。
トミーはフランキーの歌声を初めて聴いた時、「天使の歌声」だと思ってメンバーに加えます。ボブはフランキーの歌声を聴いて、この声のために曲を書きたいと仲間に加わります。それだけに、フランキーの登場の第一声は説得力のある「金の卵」感が必要なんですが、中川さん、素晴らしかったです。中川さんは165センチと小柄で、ボブ役の東啓介さんは190センチと高身長なんですが、舞台での中川さんの存在感は際立っていて、目で追わずにはいられないんです。劇作家・舞台演出家の小池修一郎先生は中川晃教さんのことを「天才」と評し、ミュージカル俳優の市村正親さんも「同じ時代に生まれないで良かった」と過去のインタビューで答えています。TVなどの映像では全然、中川さんの凄さは伝わってないなと思いました。生で観る迫力やオーラは一線を画していました。「ザ・フォー・シーズンズ」は1960年代中期が全盛期で、私の世代のひとつ前の音楽で、あまり聞き馴染みはなかったのですが、これは知っていました。「君の瞳に恋してる」(1967)。50年以上の時を経た今でも、輝きを失わない名曲だと思います。物語を観て思ったのは、階段を駆け上がっていく時が人は1番幸せなのかも・・ってことです。成功(夢)は手に入れた瞬間に、失われてしまう儚いものですね。
「ジャージー・ボーイズ」、生の中川晃教さんを観るだけで価値があります。数々の名曲に心が躍り、オリジナル曲を聴きたくなりました。