松尾画報

『心呼吸』by柴犬

キンキーブーツ

 ミュージカル「キンキーブーツ」を観てきました。日本では4回目となる公演ですが、私は今回が初見でした。「キンキーブーツ」と言えば、初演・再演のローラ役は故・三浦春馬さんで、素晴らしい役作りに当たり役だと評され、彼の代名詞になったのは記憶に新しいと思います。今回はメインキャストはオーディションを経て一新され、主要3役はダブルキャストになっています。実話を基にしたストーリーで、全楽曲はシンディ・ローパーが手掛け、4年半の年月をかけて曲を完成させました。本作のメッセージは「自分が変われば世界が変わる」。

 あらすじ・・イギリスの老舗靴工場「プライス&サン」は、安価で大量生産出来るスニーカーの到来により、多量の返品と契約キャンセルに経営危機に陥っていた。父の急逝により、不本意ながらも家業を継いだチャーリーは、ドラァグクイーンのローラとの出逢いで、「女装の男性たち」というニッチなターゲットに向けた頑丈なブーツ、「キンキーブーツ」を開発することを思いつき、ローラの協力を得て、工場の再起を試みる。

 チャーリーの勇気と決意、チャーリーとローラの友情、父と子の関係、周囲との和解、そして成功・・見所はたくさんありますが、私が1番印象に残っているシーンは、頑固で昔気質な、いわゆる、「男らしさ」を大事にしている靴職人のドンと、ローラのボクシングの試合のシーンです。ローラは女装しているけど、実は父親がプロボクサーで、同じ道を歩むように促されプロボクサーになった、格闘家だったんです。ローラがこの試合に勝って、対立してくるドンを力技で捻じ込むんだと私は予想しました。でもストーリーは違って、ローラはこの勝負にわざと負けてあげるのです。そして、そのことに気付いたドン。ローラは「あるがままの他人を受け入れて」とドンに提案します。「自分が受け入れられたいなら、まずは相手を受け入れなさい」、「愛されたいなら、まずはあなたが愛しなさい」、それが解決策なんだ、とローラが身をもって伝えてくれているシーンに思えました。

 フィナーレは「RAISE YOU UP」、「JUST BE」で大盛り上がり!大阪の観客は(東京と全然違って)一緒に踊り散らかしている、との情報で、私もダンスを覚えて参戦、周りの熱気と自分の高揚感で、観劇後は体温が+1℃は上がったかも・・。「キンキーブーツ」、気分がアガりにアガるおススメの1作です。