松尾画報

辺境のカンガルーの近況

想像力コントロール

ビルの屋上の鉄塔に登ってきました。

好きで登ったわけではなく、仕事で。

ポスターに使う街の遠景写真を撮るためですね。

なかなか出来そうで出来ない体験でした。

 

 

私、高いところは得意でも苦手でもないんですね。

観覧車は平気ですし、渓谷の吊橋あたりもそれなりに大丈夫です。

絶叫マシーンはあまり進んで乗りたいとは思いませんが。

高所に対する感覚は普通じゃないでしょうか、たぶん。

 

 

とはいえ、本能的に高いところはやっぱり足がすくみます。

だって、足元は網状の鉄の床で、数十メートル下がばっちり見えてるんですよ。

絶対大丈夫と頭では分かっているんですけど、

どうも落ち着かないんですよね。そわそわします。

 

 

最初は下を覗いて(おっさん数人で)キャーキャーとひとしきり騒いでみたんですが、

途中からはみんな無言で全く下を見ないようにします。

恐怖が暴走すると一気に心が折れますからね。

そういうきっかけを作らず、淡々と仕事に取り組むわけです。

 

 

それでも、10分ほどいると、居心地の悪さが徐々に心を侵食してくるんです。

風が吹き上がってきて、否応なしにも高所を意識させられます。

考えごとで頭の中をいっぱいにしたりして、平静を保つように心がけます。

足や腰がすくまないように、しゃがんだり足幅を変えたり、物理的な動きを加えます。

 

 

自分でできる対処法が少ないっていうのは、ストレスですね。

吊り橋みたいに走ってゴールに近づくこともできませんし、

絶叫マシーンみたいに目を瞑ってる間に終わったりもしません。

「あの雲、はよどっか行けや…」という待ち時間、まぁツラかったですねぇ。

 

 

本能のまま怖がってもよくないし、

それを抑え込み続けるのもなんだかしんどい。

数こなせば慣れるんでしょうけど、そんな頻繁に登りたくないしなぁ…。

地面っていいものですよねぇ。しみじみ。