松尾画報

松尾の独り言

国の指針に基づくがん検診と精度管理について

松尾です
奈良県かしはら万葉ホールで行われた奈良県対策型胃内視鏡検診従事者研修会に参加して来ました。
何だか難しそうなタイトルですが、要は奈良県健康福祉部健康づくり推進課が主体となって、奈良県立医科大学と奈良県西和医療センターとともに、昨年度より奈良市および一部市町村で始まっている内視鏡による胃がん検診の進捗状況の報告と問題点の洗い出しの研修会でした。
受付に行くと、県の担当者様が、「松尾先生は、えーっと、あっ、こちらですね。」と名簿にチェックして下さいました。
あれっ?何か変だな、私は有名人ではないし、まだ名前も告げていないのに、、、。何でわかったのですか?と尋ねると。○○の家の者ですと仰いました。暫くして、私の友人の○○さんの奥様が保健所で仕事をしておられたことを思い出しました。○○さんとは、仕事は違えど、意気投合したり、ケンカしたり、まさか内視鏡検診の奈良県の担当者になっておられたとは、縁を感じます。おそらく、年賀状のやり取りやホームページで覚えて頂いていたのでしょう。あとで、○○さんにメールしようっと。
研修会では、奈良県立医科大学内視鏡部の山尾教授、第三内科の赤羽講師、西和医療センター内視鏡部の森岡部長から御講演があり、山尾教授司会の下で、フロアからの活発な質問とディスカッションが行われ、有意義な時間を過ごせました。
食道の観察時間が長いと患者様の苦痛が強くなるため、まつお内科では全例に対し強調画像を用いて観察しています。
胃がん検診においても、病変がなければ食道は強調画像のみでも良いかと、私も質問すると、「基本は通常光だからダメ」と同級生の赤羽たけみに一蹴されました。患者様の皆様はご安心下さい。苦痛を少なく、観察の質を落とさず、通常画像を残しておく秘策があるのでお任せください。
研修会で得た新たな良い知見としては、精度管理のために当院や大病院のように自院で胃がん検診を完結できる施設の画像も定期的に評価されること、二次読影(いわゆるダブルチェック)のためにクラウドサービスを利用したシステムを模索していることがあります。
問題点としては、全国的にみて、奈良県の内視鏡による胃がん検診の受診率が低いことです。フロアからの発言を聞いていると、それぞれ正論なのですが、県が実施主体であり、県が決めている方法に疑問を持つ強い声もありました。内視鏡を用いて少しでも多くのがんを発見するという任務を遂行するために、我々実働部隊は、まず指示に従うこと、それぞれのやり方に指示から逸脱しない範囲でオリジナリティーがあっても良いように感じました。