松尾画報

辺境のカンガルーの近況

褒められたことじゃないけど Part.3


大学生の頃、所属していた音楽サークルで、

誕生日プレゼントを贈るのが流行った時期がありました。

ある日、友人のタケシが私に言いました。

 

『なぁ、ハシモト、家の合鍵貸して』

「ええよ、三限はじまるまで寝ときぃや(よし!来たで!プレゼントや!)」

 

流行ってたんですよね、一人暮らしをターゲットにしたサプライズ。

家に帰ったらプレゼントが置いてあったり、パーティの準備をしてみんなが待ってたり。

授業を終え、バイトを終え、わくわくしながら帰宅しました。

 

 

 

ドアの向こうから人の気配はしません。

今日は遅い時間までのバイトでしたし、プレゼントパターンかな?

なんかほしいって言ったっけな? 服かな? CDかな? わくわく。

 

ドアを開けると、部屋の真ん中にどでーーんと冷蔵庫が置いてありました。

え? 冷蔵庫? 持ってますけど、冷蔵庫。

しかも新品じゃないぞ、この冷蔵庫。何これ?

 

冷蔵庫を開けると、エクセルで作ったであろう表が一枚。

味・匂い・食感・パッケージデザイン・コスパ。

そんな項目がずらずらと並んでいます。これはもしかして…。

 

恐る恐る冷凍庫を開けると、アイスクリームがぎっっちり。

さらに、もともと置いてある私の冷凍庫にもぎっっっちり。

いやぁ…、アイス好きって言ったなぁ、そういや。言うてもうたなぁ…。

 

コンビニを回りまくって、全ての銘柄のアイスを買ってきたとのこと。

たしか50個近くあったと記憶しています。わぁ、サプライズ。

そこから数週間、私は毎日食後にアイスを食べて採点をするという生活を送りました。

 

 

 

ちなみに、部屋の真ん中にあった冷蔵庫は、一人暮らしの後輩・サトウくんの冷蔵庫。

「昼寝してたらタケシさんがいきなり来たんすよ、で、冷蔵庫貸せって言って持っていったんすよ」

私の家の冷凍庫が小さいばっかりに、サトウくんが犠牲になったようです。

 

そこから数週間、サトウくんは毎日私の家にご飯を食べに来ました。当然の権利。

サトウくんと私はその数週間でとっても仲良くなり、今でも連絡を取り合う仲です。

ありがとうタケシ、なんかしらんけど、ありがとう。

 

例によって、あまり社会的には褒められたことではないかもしれませんが。

大人になった今こそ、こういう馬鹿な発想を大切にしないとな、なんて思います。

わりと真剣に思いますね。

 

 

 

そういえば、プレゼントの中にハーゲンダッツはなかったですね。

コンビニで売ってるアイス全部買ってきたったぞ、って自慢げに言ってたのに。

ケチりやがったな、タケシ、あのヤロウ。